明治00年創業 呉服と小物の店 特選呉服 結城屋

全日本きもの研究会 きものQ&A

420.着物の耐用温度について  

きものQ&A

質問者

 ゆうきくん、以前、静御前の江戸小紋を仕立てていただいた蜜柑です。お世話になっております。
 
 この度、結婚に伴い、海外で暮らすこととなりました。 せっかくなので、着物&浴衣で生活しようと思っているのですが、 基本的に外は30度以上、夏は50度にもなる高温多湿の国なので、正絹の着物が耐えられるか心配です。 (実際、袷を着て出かけられるほど涼しいのは1~2か月程と思います)
 
 結城紬や大島紬などがあるということは、紬系ならばいけるのでは、と 思っていますが、染めの正絹は果たしてこの環境に耐えうるものなのでしょうか。(保管だけならば室内は冷房ガンガンなので問題ないと思います。)
 
 日本に洗いに出せるのは年1度くらいなので、難しいようならば、 静御前をあきらめて、ポリと綿、どうにかなっても惜しくない正絹単衣だけを もっていこうと思っています。

ゆうきくん

 その節はお世話になりました。
 
 まずはご結婚おめでとうございます。ご主人の任地へ赴かれるものとご推察いたします。

「外は30度以上、夏は50度にもなる高温多湿の国」
との事ですが、大変過酷な環境です。中東あたりでは高温ですが乾燥地帯なので、それほど暑さを感じないと聞いています。高温の上、多湿となるとさぞ大変でしょう。
 
 さて、そのような条件下できものはどうなのかと言いますと、私も経験が無いので正確にはお答えできませんので、推測の域でお答えします。
 
 一番の問題は強い日差しによる染物のヤケかもしれません。外でお召しになることは少ないと思いますが、強い日差しには要注意と思います。
 
 二番目には、汗浸みの問題でしょう。多湿となると汗が噴出すかもしれません。乾燥しないので、着物をぬらすこととなります。頻繁に洗えないとしたら、汗によるシミが問題になります。
 
 素材そのものについては問題は無いと思います。高温による劣化等はないと思いますが、保管する際、湿気があればカビの問題があります。保管をマメにすれば問題はないと思いますが、湿気には気をつけなければなりません。
 
 せっかく海外でお暮らしになるのであれば、是非きもので通してください。 きものは四季を通じて着られます。暑い国でしたらやはり夏物を主体に考えてはいかがでしょうか。特に水洗いに耐える素材のきものをお勧めいたします。
 
 普段着であれば、麻や綿など。具体的に言えば、小千谷や綿縮、綿紅梅など。そして、襦袢は麻襦袢を着れば涼しく、洗濯もできます。普段はそのようなきもので通して、特別なパーティーなどの時だけ正絹の着物を着てはいかがですか。
 
 海外の方は日本女性の着物姿をとても喜びます 是非、「ステキな日本の女性」で通してください。

質問者

 ありがとうございます。 お察しのとおり、夫の赴任先は中東なのですが、湿度が90%の国ということで、着物の前に人間がダメになってしまうような気もします。
 
 人間はそのうち治癒しますが、着物は現地でいたんでしまうとレスキューの仕様がないので心配していました。 日差しと汗や湿気に気をつけていれば、(おそらく)大丈夫なのですね、静御前をもっていけそうで、安心いたしました。

 着物素材のアドバイスもいただきありがとうございます。
 
 ほぼ夏物で過ごすことになりそうなので、洗える素材、綿系を中心にもっていきたいと思います。

>是非、「ステキな日本の女性」で通してください。

 すてきな日本女性になれるよう、頑張ります。

参照:「きもの春秋 17. 悉皆(しっかい)について」
参照:「続きもの春秋 2. 汚れない、シワにならない? 」 

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